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大阪地方裁判所 昭和58年(わ)3178号 判決 1983年9月05日

裁判所書記官

井上賀博

本店所在地

大阪市此花区西九条一丁目二九番五号

三協産業株式会社

右代表者代表取締役

戸田京治

本籍

大阪府堺市槇塚台二丁三七番地の二

住居

同市槇塚台二丁三七番二号

会社役員

戸田京治

大正一五年四月一五日生

右の者らに対する各法人税法違反事件について、当裁判所は、検察官岩永建保出席のうえ審理してつぎのとおり判決する。

主文

被告会社三協産業株式会社を罰金一、五〇〇万円に、被告人戸田京治を懲役一年に処する。

被告人戸田京治に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用はその二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人三協産業株式会社は、大阪市此花区西九条一丁目二九番五号に本店を置き、船舶(函型船)の賃貸業を営むもの、被告人戸田京治は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、

第一  被告人戸田京治は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、同会社の昭和五四年六月一日から同五五年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が五八、一〇一、二九五円でこれに対する法人税額が二二、三四四、九〇〇円であるのにかかわらず、架空の傭船料及び修繕費を計上するなどの行為により右所得の一部を秘匿した上、同五五年七月二九日、大阪市此花区伝法一丁目四番一六号所在此花税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が欠損九五六、八一二円で、これに対する法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税二二、三四四、九〇〇円を免れ、

第二  被告人戸田京治は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、同会社の同五五年六月一日から同五六年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が六八、四一五、〇四八円で、これに対する法人税額が二七、六五九、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五六年七月三〇日前記此花税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、〇五二、五二三円、これに対する法人税額が二〇〇、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二七、四五八、七〇〇円を免れ、

第三  被告人戸田京治は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、同会社の同五六年六月一日から同五七年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が五七、〇一七、四〇三円でこれに対する法人税額が二二、八八六、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五七年七月二九日、同市福島区玉川二丁目一二番二八号所在福島税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、三七八、九五七円、これに対する法人税額が六一二、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二二、二七三、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人戸田の当公判廷における供述

判示冒頭事実について

一  登記官作成の法人登記簿謄本

判示第一乃至第三の事実について

一  被告人戸田の大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通

一  被告人戸田の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一七通

一  古川喜久子(二通)、戸田直幸(三通)、樋口法子、桐山義仁(二通)、土田三次、戸田岩夫、宮崎宣雄、近江岸晴治郎、毛尾幸次郎(二通)、宮塚弘、中矢光典、福田洋司、山岡富治(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  吉川喜久子の検察官に対する供述調書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五四年六月一日から昭和五五年五月三一日までの脱税額計算書

一  税務署長岩月精一作成の昭和五四年六月一日から昭和五五年五月三一日までの法人税確定申告書謄本

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の昭和五五年六月一日から昭和五六年五月三一日までの脱税額計算書

一  税務署長岩月精一作成の昭和五五年六月一日から昭和五六年五月三一日までの法人税確定申告書謄本

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の昭和五六年六月一日から昭和五七年五月三一日までの脱税額計算書

一  税務署長岩月精一作成の昭和五六年六月一日から昭和五七年五月三一日までの法人税確定申告書謄本

(法令の適用)

被告会社の判示第一の所為は昭和五六年法律第五四号附則二条、一九条により同法による改正前の法人税法一六四条一項(一五九条一項)に、被告人戸田の判示第一の所為は同法一五九条一項に、被告会社の判示第二、第三の各所為は右改正後の法人税法一六四条一項(一五九条一項)に、被告人戸田の判示第二、第三の各所為は、右改正後の同法一五九条一項にそれぞれ該当するが、被告人戸田について所定刑中懲役刑を選択し、以上はいずれも刑法四五条前段の併合罪の関係であるから、被告会社については同法四八条二項により所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人戸田については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告会社を罰金一五〇〇万円に、被告人戸田を懲役一年に処し、情状により被告人戸田に対し同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文を適用して被告人両名にその二分の一ずつ負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 柴田秀樹)

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